瀧川鯉八

「 落語を作って"良い反応が来た時の喜び以外の喜びはない" 」

瀧川鯉八
  • インタビュー・編集:藤井崇史 / 撮影:知久存在

公開日:

瀧川鯉八

瀧川鯉八(たきがわこいはち)

1981年 鹿児島県鹿屋市出身

【芸歴】
2006年08月 瀧川鯉昇に入門 前座名「鯉八」
2010年08月 二ツ目昇進
2020年05月 真打昇進

【受賞歴】
2015年12月 第一回渋谷らくご大賞 受賞
2017年12月 第三回渋谷らくご大賞 受賞
2018年12月 第四回渋谷らくご大賞 受賞
2020年03月 花形演芸大賞 銀賞 受賞
2021年03月 花形演芸大賞 金賞 受賞
2022年03月 花形演芸大賞 金賞 受賞


瀧川鯉八 公式ウェブサイト

新作落語しか演らない落語家、瀧川鯉八。
だからこその苦悩や喜び、独特の世界観、そして、現在の想いを赤裸々に語っていただいた。

松本清張が今の時代に合っている

純喫茶(酒類を扱わない、純粋な喫茶店のこと)がお好きですが、これはどんなきっかけで好きになったんですか?

瀧川鯉八

路面電車が好きなんですけど、路面電車って全国に17路線しかもうないんですよ。
今は交通手段が発達しているから、路面電車ってなくても平気なはずなんです。

そうですよね。

瀧川鯉八

それなのに、路面電車を残しているってことは、あの文化を大切にしたいってことですよね。
そういう文化を大事にしたい街って素敵なんですよ。
それで、そういう街には必ずいい純喫茶があるんです!

一番好きな純喫茶はどこですか?

瀧川鯉八

長崎県にある、「珈琲冨士男」は日本で一番好きですね。
ただ、今はほとんどの喫茶店でタバコが吸えなくなったので、あんまり行かなくなりましたけど。

瀧川鯉八

高校生の時に、本を読んだりするタイプではなかったけど、井谷昌喜さんの「クライシスF」を読んだそうですが、内容は、鯉八さんの落語に通じるものがありますよね?
人々があくびを連発し、引き算を間違えて死に至る事件が日本で同時多発とか。

瀧川鯉八

実はなんにも覚えてなくて(笑)。
それに「クライシスF」も当時の僕には難しくて、読み切ってはいないんですよ。

そうなんですか。

瀧川鯉八

その頃は、本を読むのがかっこいいんだろうなって思って、読んでいただけなんです。

でも、今は本をたくさん読まれていて、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」を絶賛されてましたね!
津村記久子さんの「水車小屋のネネ」も読まれて大ファンになったんですよね。

瀧川鯉八

津村記久子さんももちろんですが、今は、松本清張せいちょうが好きですね!

松本清張さんは誰かに勧められて知ったんですか?

瀧川鯉八

今年の夏に「夜汽車」ってネタを作ったんですね。
それで、うまくネタに入れるマクラを作りたいなと思った時に、松本清張の「点と線」(松本清張の代表作で、電車が重要な要素)の電車だなと思って読んだんですよ。
「点と線」は長編なんですけど、こんなに長いのは読みたくないなと思って、短編を選んだんです、たまたま「張込み」を。
それがめちゃくちゃおもしろかったですね!
松本清張って昔の作家ですけど、時を経て、今の時代に合っていると思うんです。

どんなところがですか?

瀧川鯉八

不要なものも省いてあって、もう一行目からおもしろくしてあるんです。
例えば、心象風景として、今日は秋の陽射しがとか紅葉がとかあるじゃないですか。
それって、小説を読まない人はこれ面倒くさいと思うんで、要らないんですよ。
今の時代に当てはめると、すぐ答えを言えだとか、すぐ本編に入れとかってことですね。

瀧川鯉八

今だと、スマホとかですぐに検索して答えを見つけるのと同じですよね。

瀧川鯉八

早く答えが知りたいと。
ただ、三島由紀夫や当時の文豪からは、「そんなのは文学じゃない!」と言われたんですよ。
でも、あまりにも内容がおもしろいから、大衆が支持したんです。
現に、長者番付は1位だったり、ずっと上位でしたから、それだけ売れているってことです。
映画化、テレビドラマ化されたりもしてますし。

批判よりも、結果が物語っているってことですね。

瀧川鯉八

あと、松本清張って、コンプレックスもすごいんですよ。
学歴がなかったとことで辛い思いをしたコンプレックス、顔もかっこいい感じではなくて、モテなかったコンプレックスってことで、短編に出てくる登場人物で、お金持ちとか、家柄がいいとか、イケメンだとか、綺麗な人ってことごとく酷い目にあってるんですよ、小説の中で。

その反動ってことですよね。

瀧川鯉八

何がすごいって、売れっ子作家になり、お金持ちになって、綺麗な人だって寄ってきたりとかもあったのに、そのコンプレックスが創作に尽きることなく亡くなったんですよ。
それに、最後までコンプレックスを商売として書いている感じもしないんですよ。
だから、コンプレックスを最後まで忘れなかった才能はすごいなと思いましたね。

"死" と "ポップ" と "おっさん"

15歳の頃から口説き文句をノートに書いていたそうですが、どんなきっかけからですか?
1000の口説き文句があるんですよね。

瀧川鯉八

それは15歳ではなく、新作落語を作り始めてからなので、25歳ぐらいですね。
スヌ子さん(料理研究家)との対談(雑誌「七緒」)では、15歳と言ってましたが、嘘でした(笑)。
女性と話す時の台本を作るってかっこわるいことじゃないですか、なんとなく。
気持ち悪さもあって。

普通はやらなさそうな。

瀧川鯉八

だからこそ誰も作らないんですよ。
でも、作っている人と作ってない人では歴然の差が出るんです。

準備しているか、していないかってことですよね。

瀧川鯉八

お話している女性からしたら、「こんなこと言われたの」とか、「こんなお話しする人は初めて」ってなるんですよ!
だって、こっちには台本があるから、それも膨大な。

そのプレイボーイな感じは、鯉八さんのおじいさんからの影響ですか?
おじいさんはプレイボーイで、生前とてもモテていたんですよね。

瀧川鯉八

僕は女性とお付き合いしたとか、チュウをした回数とかなんて全然ないんですよ。
女性を口説き落とすのが好きなんで、口説き落とせるなと思ったらもうそこで終わりなんです。
そこから先はお付き合いとかになると、自信がないんで(笑)。

だから、その口説き落とすまでの過程が好きってことですよね。

瀧川鯉八

むしろ、 "口説き落とす" っていうワードが好きなんですよ!
女性からしたらめちゃくちゃ怒ることだと思いますけど。
なぜなら、成功体験がなくて、自分に自信がなく生きてきたから。
新作落語をやるようになって、お客様が笑ってくれる機会が増えると自信が付いてくるわけですよ、人間として。

瀧川鯉八

でも、その口説き文句の最後に言うのは「どうせ死ぬよ」なんですよね?

瀧川鯉八

「命は永遠ではなく、どうせ最後はみんな死ぬんだから、僕の魅力に飽きる前に死ぬから、気にせず僕の胸に飛び込んで来いよ」ってことですね。

その感じだと、やっぱり、おじいさんのプレイボーイの血を引いていそうですよね(笑)。

瀧川鯉八

"キュン" としますよね。

" 死 " だと、昨年の「東京かわら版」でのインタビューでは、10年後にはもっと死に近いテーマを作るようになるんじゃないですかねとおっしゃってましたが、死に近いテーマであっても、やっぱりそこはポップに包むんですよね?

瀧川鯉八

僕はポップスターになりたいんですよ!

ポップに包むのも大きなテーマなんですよね?

瀧川鯉八

それこそ、松本清張を好きになったのも、僕と似ていて、コンプレックスとかが題材だなと思って。
小説は読み返せるじゃないですか、映像も一時停止が出来るし。

そうですね。

瀧川鯉八

だけど、落語はその場で終わるんで、よりもっと親切に話さないと伝わらないって時に、嫌なこととか、聞いてて耳障りだなってことを言ったら一瞬で離れちゃうんで、それを言い方とか雰囲気でポップに包んで提示したいってうだけであって。

ストレートに伝えるとキツい言葉を柔らかくするってことですか?

瀧川鯉八

簡単に例えると、見た目は美味しそうな料理だけど、中を切って見ると、見たことのないドロっとしたのが出てくるみたいな。
でも、食べてみると美味しいっていうのが理想です。

瀧川鯉八

見た目のポップさってことですよね。

瀧川鯉八

そう、見た目が悪いと誰も手を付けないんで。
だって、青い色のカレーだと食欲が湧かないですよね。
まずは見た目で油断させたいってことですね。
ただ、ちゃんと食べてもらえるまでは誘導しなければならないですけど。

初めの喰い付きとしてってことですね。

瀧川鯉八

僕のポップって、ポップが何かも分かってないし、なんとなく、親しみやすいとか、柔らかいとか、可愛らしいってことなんですけど、それすらも、僕も年齢を重ねてきて、気持ち悪くなってきてると思うんですよ、おっさんが(笑)。
これからは、よりおっさんが気持ち悪い感じにしてくるのが魅力になっていけばいいかなと思います。

ポップからおっさんにってすごい流れですね。

瀧川鯉八

「吾妻光良 & The Swinging Boppers」というおっさんだけのジャズのバンドがあるんですけど、それがめちゃくちゃかっこいいんですよ!
見た目はハゲのじいさんなんですけど。
曲もいいんですけど、歌詞もめちゃくちゃおもしろいんです。
20年ぐらい前の曲で「カミさん不細工な方がいい」(YouTubeで見る)って曲があるんですけど(笑)、それが一番好きで!
カミさんが美人だと、周りから嫉妬とかあるから不細工な方がいいっていうだけのシンプルな内容で。

分かりやすいですよね。

瀧川鯉八

特に今の時代だと「ブスがいい」って言っちゃいけないんだけど、それをおっさんが言っていると多分みんな許すし。

説得力がありますよね。

瀧川鯉八

説得力もあるし、許すしもう、なんか汚いおっさんが何か言ってんなとか(笑)。
でも、音楽もいいし、ユーモアもあるし、歌詞の載せ方もシンプルな言葉で短く端的に伝えていくのが、すごいな! と思って。
だから、こうなりたいなって最近は思ってます。
「カウリスマキ」から「松本清張」を経て、「吾妻光良 & The Swinging Boppers」ですね。

∞(無限)の絡め取るリズム

先程、カウリスマキとありましたが、影響はもうあんまりない感じですか?
以前は、落語の「セリフも極力減らしたいんですよ」とおっしゃっていましたが。

アキ・カウリスマキ:フィンランドの映画監督
(台詞が少なく、表情はそれ以上に極端に少なく、ナチュラルさを意図的に排除したような演出が特徴)

瀧川鯉八

そうですね。若い時は意識してセリフを極力減らしたこともあるけど、その当時はお客さんに伝わることはなかったから、説明不足ってよく言われたし、説明していないから、お客様は何が起こっているのか分からないって。それで、やっぱり伝えないといけないってことに気付くから、今はカウリスマキみたいな演出の感じからは離れちゃったかもしれないですね。
説明過多な時代で、親切にしないといけないという時代ですし。

想像で補う為に、どこまで説明するかはありますよね?

瀧川鯉八

それはこっちの技量不足で、言葉が少なくても伝わるようになりたいっていうだけで。
高座に上がって、おもしろい、おもしろくないの前に、伝わらないと意味がないから。
だから伝えようってなっているのかもしれないですね。
カウリスマキだって、案外、最新作なんかは昔のカウリスマキよりも親切になっていますよ、伝え方が。

瀧川鯉八

時代に合わせているってことですよね。

瀧川鯉八

カウリスマキも年齢を重ねて、色々な心境の変化もあったかもしれないし、表現だから、伝わってからがスタートじゃないですか。
だから、カウリスマキとは相反するかもですけど、僕もちゃんと伝えるってことですね。
ちゃんと届ける大事さは、僕もキャリアを重ねるほど痛感してます。

「人の嫌なところをネタにしたい」と公言されていますが、そこに着目しようと思ったきっかけはなんですか?

瀧川鯉八

ワイドショーが好きだからですね(笑)。
昨年作った噺「めめめ」の中のセリフで「他人の不幸は蜜の味って言うけれど、私はそうじゃない」ってあるんです。
私は人の幸せが喜べない。

似ているけれど、意味が違うってことですよね。

瀧川鯉八

「私はそんなに最低じゃないんだ、人の不幸は喜んでないんだ。ただ、あなたの幸せは喜べないだけであって。この差は大きい、だから誤解しないでくれ」、みたいなのが僕の本質だし、そこがなんかおもしろいなと思っていて、この言い訳も含めて。

そういう感性なんですね。

瀧川鯉八

これはよく言うんですけど、僕は平均的な男なんです。
だから、自分が考えていることはだいたい他の人も考えているってことに気付いたんですよ。
僕は人の幸せが喜べるほど立派な人じゃないかもしれないけれど、人の不幸は望んでないんだよって多分みんなも思っているはずだと思っていて、だから、そこは共感してもらえると思うんです。

あるあるってことですよね。

瀧川鯉八

そういうのを剥き出しに言ったというのが、おもしろいなと思って。
でも、最後はハッピーエンドな感じで、「めめめ」の噺が終わった感覚は悪くないと思うんです。
ハッピーで終わっていて、それも浅はかに終わっているのがいいなと。

作った噺で、お客さんにウケなくても納得いっているから残すというのと、お客さんにウケるから残すがあると思うんですけど、そこの葛藤は自分の中で、どう折り合いをつけるんですか?

瀧川鯉八

これはもう、ウケるのが好きです。

瀧川鯉八

自分が好きだから残すはないんですね?

瀧川鯉八

この噺は好きなんだけどなって思いつつ、一発で捨てるのもありますけど、好きだなって思うのは5回ぐらいやるんです、色んなところで。
それでも駄目なら捨てます。
今はドンドン捨ててますね、前の方がこだわりがあったんで。
でも、やっぱり1回目で駄目だなって思うやつは5回やっても駄目で、ほぼネタ下ろしが全てですね。

それはもう感触で分かるんですか?

瀧川鯉八

分かるんですよ。
リズムがしっくり来ないってことですね。
今でもウケていてよくやっている噺はやっぱりリズムがいいんですよ。

どんなリズムですか?

瀧川鯉八

理想は "8の字" ですね。
横にして、∞(無限大)をやりたいんですよ。
上下かみしもに合うっていう。

丁度、左右対象になりますよね。

瀧川鯉八

単純な上下でパンパンではなくて、流れとして、∞の左右丸みのとこでそれぞれ戻って来る時にバンって、グルーヴ(音楽における「ノリ」や「リズム感」のこと)に酔うみたいな感じになるといいなって。

そこをリズムとして意識するんですか?

瀧川鯉八

溶け合いたいというか。
ウケている噺は、その左右で戻って来る時に、お客様を絡め取っている感覚がありますね。
デンプシー・ロール(ボクシングで、体を左右に動かしながら、その反動を活かしてパンチを打つこと)みたいな。
それでいつの間にか、お客様が横殴りされている感じですね。
揺れながらバーン、バーンって。

「めめめ」が作れた幸せ

何も起こらないとか、落差がないとか、展開しない噺が好きだそうですが、そこに魅力を感じたのはいつぐらいからなんですか?
YouTube「ソーゾーシーチャンネル」での(立川)吉笑さんとの対談で、最下位から1位になるみたいな落差があることよりも、7位のやつが8位のやつに威張るみたいな感じという例えが分かりやすかったです。

瀧川鯉八

僕は前提として、ストーリーが作れないんですよ。
挑戦したことはあるけれど作れないからそれは選択から消去して、作れる中でやれることとしてこぢんまりしたのしか作れない。

だから、7位と8位みたいなことなんですか?

瀧川鯉八

元々、7位と8位みたいな差のが好きなんですよ。
好きなんですけど、落語家として、より数の多いお客様の前でやる時って、やっぱり、その7位と8位みたいなのでは伝わらないんですよ。

最下位から1位になる方が単純に分かりやすいですもんね。

瀧川鯉八

それは課題なんです。
課題があるっていいなって思っていて。
でも、昨年に作った「めめめ」はお客様がどう思っているかは分からないけど、ウケないこともありますけど、最大のいい噺だなと思ってますね。
なので、「めめめ」を作れたのが自信になってますね。
まだイケる! っていう。

瀧川鯉八

同じく、その吉笑さんとの対談で、過去を振り返るみたいな話の中で、二ツ目になった30歳ぐらいからの10年間が人生で、気分的にも幸せだったとおっしゃていましたが、今はもう40代ですけど、真打ちになって5年目ですが、幸せ度合いで言うと、いかがですか?

瀧川鯉八

「めめめ」が出来たことによって全てが更新されましたね、30代のそれよりも。

その10年間での幸せを「めめめ」が一気に超えて来たんですね。

瀧川鯉八

「めめめ」を何度も聴いているお客様は馴れてきて笑わなくなるでしょ、知っているから。
それでも、そんなこと全然気にならないんですよ、「めめめ」に関しては。
他の噺の時は、これは何回も聴いているからウケないだろうなって思うんですど、「めめめ」はそれを気にせずにできますね。
独演会で四席やるとして、全席「めめめ」でもいいぐらいです、僕は。

2020年の「さんたつ by 散歩の達人」で、現実がある程度分かった上でも、根拠が無い自信が持てるとおっしゃっていましたが、それはやっぱり自分の才能に自信を持っているからですよね?

瀧川鯉八

当時はそうだったと思いますが、今はもう何にも考えてないです、その辺は。
自信があるからやる、自信がないからやらないとか、才能があるからやる、やらないとかも考えていないし、もう "やるかやらないか" だけですね。

単純な二択なんですね?

瀧川鯉八

作るか、作らないか、おもしろいか、おもしろくないかだけなんで、自信があるかって言われたら自信なんてない。
才能があるかって言われたら、才能なんてない。
もしかしたら、他人は才能がありますよって言うかもしれないけれど、そう言うなら、そういう面もあるのかもしれない、その人から見たら。
でも、僕としてはない。
ないからと言って、落ち込むことなんてもうないですね。

落ち込むこともあったんですね?

瀧川鯉八

若い時は才能がないなって落ち込んでましたけど。
結局それは作り続けることで、そういうことじゃなくて、単純にメシの種としてこれしかない、やるしかないんだと。やらないと食べていけないんだということもあるし、やりたいこともこれしかないということですね。落語を作って、 "良い反応が来た時の喜び以外の喜びはない" 、優先順位として。
だから、そういう意味でやりたいことと、やらなきゃいけないことが一致している幸せはあるかもしれないですね。

鹿児島の「みなみ新聞」の真打ち昇進時のインタビューでおっしゃってましたが、40代を目前になった時に、向き合い方も変わってきて、「以前は、ウケたからうれしい」で自己完結していたのが、今は「お客さんが喜んでくれることが自分の喜びにつながっている」なんですよね。
これは何かきっかけがあってですか?

瀧川鯉八

結局は過程の問題で、おもしろい噺を作れば、笑ってもらえる。
笑うってことは、その時間は嫌なことも忘れているから、結果的にいい気分になっている。
だから、お客様に喜んでもらいたいというハッキリとした目的があって創作はしていないんですよ。

それが目的ではないんですね。

瀧川鯉八

おもしろい噺を作りたいってことだけに焦点を合わせていて、おもしろい噺さえ作れば結果的にそうなるはずなんで。
だから、お客様が幸せになるにはこういう噺を作ったらいいなという作り方はしないんです。
自分が作った噺で偶然ヒットすれば、結果的にそれはお客様が幸せになるからですね。
だから、いい噺を作りたいっていうだけですね。

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